(ティエリア×1、アレルヤ×1)
「ティエリア、本当に食べないの?」
「ああ。原形を留めているものは好きじゃない」
「んー・・・でもそれって損してるわ」
「損?」
「そ。食べ物を食べるって幸せなことなのに、それをしないっていうのは損してると思うわ。しかも、できないわけじゃない」
「できないわけじゃないが」
「でしょ?食べることができない人、食べられても味として感じることができない人、たくさんいるのにね」
「たくさん?」
「そう、たくさんいるわ。そういう人たちを思えばティエリアはすごく贅沢なことを言っていて、同時に食べることに損してる」
「そんな風に考えたことはなかったな・・・贅沢で損、か」
「あたしなら何でも食べちゃう」
「君は見かけるたびに何かしら口に入っているな」
「そうよー。美味しいものたくさんあるもの。お肉も、お菓子も、お酒も」
「確かに美味そうに食べている」
「食べるの楽しくないとか美味しくないのって人生半分くらい損してると思うわ」
「思い切ったことを言うな・・・でも、分かるような気がする。なんとなくだけどな」
「ん、それがなんとなくでも分かるならいいんじゃない?命を頂くんだからそれくらい思ってないとね。というわけで」
「・・・・なんだ、この手は。離さないか」
「食べさせてあげる」
「・・・・・・・・・・・は?」
「わかるとかなんとか言いながら、これ食べる気ないでしょ。だからあたしが手ずから食べさせてあげる」
「やめろ僕は子供じゃない!」
「逃げちゃダメよ」
「この・・・っ・・・どこから出るんだ、こんな力・・・文系のくせに・・・」
「ティエリアが非力なんじゃなくて?さ・・・観念して食べてもらうわよ!」
「んぐ!んー!んんー!!!!!!」
「おいし?」
「・・・・・・(ゼイゼイ)味が分からない」
「んふふ、じゃ、もう一回」
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それは一瞬の油断すら許さない
痛みも音もなく忍び寄るそれは
不意に深い感慨、惑いを連れて心に居座るのだ
ただ
解るというなら
その存在は
この規定概念の全てを覆す
例えるなら 嵐
「だと思うのよね」
「嵐、ですか」
「そ。恋は嵐!荒れ狂う嵐!出遇えば心を攫ってあたしの中にある常識を塗り替えられちゃう」
「炎とか聞いたことはあるけど、そんな風には思ったことはないかな」
「アレルヤはまだ恋も知らなそうだものね」
「そんなこと・・・」
「19歳には早い話かなぁ」
「遅いくらいですよ。そうだな・・・常識とか概念を崩されるっていうのは、解る気がする」
「うん?」
「その人を思えば嬉しかったり悲しかったり、すごく感慨があるよね」
「ね、だから嵐」
「でも、僕のはきっと嵐じゃないよ。もっと優しいものだと思う。寧ろ花・・・風に乗る花弁かもしれない」
そう言って伸ばされた腕に簡単に捕まった。
繊細かと思えば、案外粗野。
ほら、見ろ。
やっぱり
「嵐みたい、 だ」