*学パロで前後編の後編です!ご注意!
そんな風に数日を過ごして、いよいよクリスマス本番を明日に控えた24日、双子は天気でも話すような気軽さで言った。
「あ、。明日そんなに早く帰ってこなくていいからね」
「そうだぜ。せっかくのクリスマスだしその辺ぶらぶらしてから帰ってこいよ」
なに言ってるのこの子たち。
ひくりと柳眉を寄せては全ての動作を停止した。
なんだか最近二人にほったらかしにされている気がする。どういうわけかここ数日何やらひそひそ会話していることも多いし、妙に出かける回数が増えている。
元々じっとしている気質ではないのは分かっているが、それにしても夜にいなくなるのがやたらと多いのは気のせいだろうか。
は甘えるときの猫撫で声で、比較的落ちやすい――失礼だとは承知している――アレルヤに擦り寄った。
「いやよ。ねぇ、アレルヤ・・・一緒にどこか行こ?もう冬休みになるんだから遅くなってもいいでしょ?ね?」
すりすりと服の上からでも分かる鍛えた胸筋に頬を寄せる。
甘えている間アレルヤは髪を優しく撫でてくれてはいたが、言い終わるとそっとの肩を掴んで自分の身体から引き離した。
「ダメ。イイコだから我儘言わないで。ちょっとゆっくりしておいでよ。僕たちにかかりっきりじゃ君も疲れてしまうよ」
「そうそう。でもあんまり遅くなるなよ。あと飯も食うな。家で食うんだぜ。世の中不景気だからな、どこ行っても高いだろ」
「知らない男に着いていったりしたらダメだからね。ナンパには十分気をつけて。が歩けばたくさん悪い虫が引っ掛かって気が気じゃないよ」
「ホテルなんざ入ってみろ。男は殺してお前は泣いても犯しつくすからな」
下品だよハレルヤ、とアレルヤは彼を非難したがはその下品さにではなく別の意味で絶句した。
何?僕たちにかかりっきりだと疲れる?出かければいいけど遅くなるな?出かけても食事は外でせずに家でしろ?ナンパに気をつけろ?ホテルに入るな?
なに言ってるのこの子たち。
かかりっきりだと疲れるってそんなわけない。ずっと二人の傍でいるのが幸せなことなのに、そんな些細なことを許してくれないの?出かければ遅くなるのは当然だし、あたしを一人にしたいなら食事してくれば二人に都合がいいじゃない。ナンパは仕方ない。でも出かけるときはいつもどちらかが一緒で守ってくれるから気にしなかっただけよ。誘われたからってホテルに入ったりしない。誘われても相手になんて絶対しないし、あたしはアレルヤとハレルヤだけって決めてるのに。
・・・せっかくのクリスマスだというのに、二人は一緒に祝うことを許してはくれないらしい。
はがっくりと肩を落として項垂れたが、一拍ほどの後、ぐっと顔をあげて憤然と言い放った。
「何よ!!どうして一緒にいちゃいけないの?!あたしは大好きな二人と一緒にいたいだけなのに!アレルヤもハレルヤも最低!ひどいわ!最っ悪!!」
アレルヤが驚いた顔をして、、と宥めるように声をかけた。
ハレルヤも驚いたようで一瞬そっくりの顔で固まったが、すぐに気を取り直しての腕を引いた。その力にかっと頭に血が上る。
「触らないで!」
は怒鳴って、ハレルヤの顔を思いきり平手で打った。ハレルヤは勢いで転びはしなかったものの上体を揺らしてふらついた。
は海のように真っ青な瞳に涙を浮かべて自分の部屋に閉じ籠った。ベッドに這い登ると布団を被って声を押し殺して泣いた。
あたしがいると何かまずいことでもあるの。
新しく彼女でも作ったからあたしが邪魔だって言うの。
それでもあたしは都合のいいスポンサーだから何かあると困るって言うの。
何よ。
冗談じゃないわ。
枕を抱えこんで涙で濡らしながら、はどろどろと睡魔に呑まれていく。
眠気に包まれながら、心の底から思った。
「明日なんて・・・クリスマスなんて来なければいいのに」
どんなに望んでも明日はやってきて、今一番来てほしくないクリスマスも同時にやってきた。
朝は用意しなければもう間に合わないぎりぎりの時間に起きだして身支度を済ませると、アレルヤが用意してくれた朝食もそのままに家を飛び出した。
今朝のメニューは半熟玉子とキャベツの巣籠りサラダと、ポタージュ、クロワッサンの三品。
湯気をたてて美味しそうに香る朝食を思い出すと、ぶつぶつ言いながらでも食べれば良かったと後悔する。
でも、そんなことは昨夜の出来事を思えば絶対に言えない。言ってなるものか。
職員室でコンビニで買ったペットボトルのお茶とツナサンドを取り出して、もそもそと口に放り込む。
珍しく職員室で飲食をするを何人かの職員がちらちらとこちらを見たが、無視して平らげてしまった。
時計を見ればそろそろ朝礼の時間。
はゴミをコンビニの袋に入れると足もとのゴミ箱に突っ込んでから職員室を出た。
学生たちは今日が今年最後の授業になる。1限と2限は通常の授業で3限が各々の教室での冬休みの諸注意や2学期の成績表の返還等にあてられる。
それが終わってしまえば彼らは自由な冬休みだ。クリスマスということもあって、殆どの生徒が遊びに出かけるに違いない。ある者は恋人と、またある者は友達と。
は校内に満ちた浮かれた空気に重々しく溜息を吐いた。
自分を取り残して世界は妙に幸せそうだ。
なんだかズルイ。
そういえば教室に行けば朝から無視し続けた双子がいる。受け持ちの生徒だなんて、こんな時に非常に面倒だ。
会いたくないな。
そうこうしているうちに自分の受け持ちのクラスに着いてしまったは、ざわつく教室の扉の前で深呼吸すると意を決して扉を開けた。
「おはよう、みんな席に着いて。出席とるわよ」
の号令に生徒たちは大人しく従って席に着いた。
は学園でも男女問わず非常に人気が高かった。
若くて優しく整った容貌と、分かりやすい授業、友人のように気さくに話してくれるその性格からか、皆一様にの言い分には耳を貸してくれるようだ。
きちんと席に着いた生徒たちを見回すと、一番後ろの窓際の席でどこか安心したように微笑むアレルヤと眼があった。が、見なかったことにして出席簿に視線を移すと、視界の隅でしゅんと肩を落とした様を捉えてしまった。
どういうわけか良心が痛む。
悪いのはあっちのほうで、自分が苛む必要はないと言い聞かせて点呼をとるために顔をあげる。
今度は別の眼が合った。
長い前髪の間から覗く金色の瞳。
責めるのでもなく、いつものように見つめるハレルヤの眼に捕まった。
眼を反らせずに暫く固まったままでいると、教卓の前の生徒がに声をかけた。
「先生、今日は授業なしにしようよー。半日なのに勉強なんてかったるいよ」
「え・・・あ、ダメよ、そんなの。今日は2限まで授業!」
それがきっかけで呪縛から解かれたは出席簿の通りに点呼を取っていく。
苦い思いに駆られたが、アレルヤとハレルヤの名前も呼ぶ。
二人はいつものように変わらず返事をしたが、アレルヤの声は僅かに沈み、ハレルヤの声はうん、と唸るだけだった。
朝礼が終わると次は授業だった。
黒板の前に立ち、チョークを取って書きつけていく間も背後に刺さる視線が気になって仕方がない。
言い分を聞くとはいえ、殆どの生徒は授業を無視して居眠りをしているので普通の生徒の視線ではない。紛れもなくアレルヤとハレルヤの視線だ。
過剰に反応しすぎているせいか、振り向くのが怖い気がする。
しかしそれでは授業にならないので、は恐る恐る振り返り、後ろを見ないようにさっと教科書に眼を移した。
そうだ、誰かに教科書読んでもらおう。そうすれば教科書をみたままでも変じゃない。
我ながら良い判断だと自画自賛して、は言った。
「えっと・・・じゃあ次、ここの段落から次の段落まで誰かに読んでもらおうかしら。えーと・・・」
「僕が読みます」
声を上げたのは後ろの窓際の席。
あろうことかアレルヤの声だった。
アレルヤはじっとを見つめて彼女の指名を待つ。待っている間もは泣きそうな、怯えた眼でこちらを見ている。
ああ、泣きそうだ。
思って、アレルヤは今すぐ彼女に駆け寄って抱きしめたい気分になった。
あんなに傷ついた眼で見られるなんて数日前まで思ってもみなかったのだ。ただ、今日のクリスマスのためだけにには全てを秘密にしていた。それはまだ話すことは許されない。ハレルヤとの計画だ。
喜んでくれるように。
幸せそうな笑顔を見たいがために。
手を伸ばしかけて、やめる。
ここは学校だ。
彼女と自分たちの関係は秘密。
親しげに名前で呼ぶことも、当然手を繋ぐことも許されない。
外では全くの『他人』なのだ。
。
名前を呼びたかった。
ハレルヤが横目にこちらを見ているのが分かる。
駄目だ、と言いたいんだろう。
分かってる。そんなこと。
でも本当は君だって、呼んで抱きしめて心配ないって言いたいくせに。
分かるんだよ、そんなこと。
君と僕は同じだ。なんだって分かる。
僕らの間で唯一違うのは、ただ一人。
一番伝わってほしい彼女に、心の一つも正確に伝わらないなんて。
が何かを言いかけて、それでも声が出なくて口を閉じた。
その逡巡の後、授業終了を告げるチャイムが思い出したように鳴り響いた。
あっと思ったのも束の間、は教科書類を手早く片付けると逃げるように教室から去った。
「バカヤロ。牽制するなよ」
ハレルヤが忌々しげに吐き捨てる。
分かってるよ、とアレルヤは小さく呟いた。
後の授業や、成績表の返還やらをどう終えたのか分からない。
気づけば昼前で、生徒はとうに学校を後にした時間だった。
はぼんやりと社会科準備室の自分のデスクに凭れかかっていた。
「あら、センセ。帰らないの?せっかくのクリスマスよ、大型犬2匹と遊ぶんじゃなかったの?」
帰ってきたスメラギが、その様子に首を傾げた。
数日前の、楽しさを押し殺そうとぶっきらぼうに言っていたあのときとは、明らかに違うの様子に気が気ではない。
スメラギの問いかけに、気だるげに面を上げたは抑揚のない口調で言った。
「帰ってこなくてもいいんですって。あたしは我儘で、あの子たちに構い過ぎで、尻軽だから、いいんですって」
「は?我儘?構い過ぎ?尻軽?」
「でもご飯は不景気でお金がかかるから家で食べろって。しかもあまり遅くなるなって。もうどうしろって言うのよ訳わかりませんよね」
断片的に聞かされてはさっぱり要領の得ないスメラギは、みるみる涙ぐみ始めたの髪を撫でてやった。
少し体勢が悪いので、自分の椅子を引いて隣に座ってから、もっと優しく頭に触れる。
「ううっ・・・ひどい・・・あの子たちひどい・・・」
「落ち付いて、先生。よくわからないけど一先ず落ち着いて」
ぐずぐずと鼻を啜る同僚をしばらく宥めていると、ようやくは落ち着いたようで項垂れた頭を起こした。
スメラギは一度離れると、マグカップにインスタントコーヒーを入れて帰ってきた。
マグカップの一つをに差し出して、自分はもう一つのカップに口をつける。
それに倣うようにがコーヒーを飲むのを見遣ってから、スメラギは微笑んで見せた。
「・・・落ち着いた?」
「はい・・・。ごめんなさい。あたしったら取り乱して・・・」
「良いのよ。誰だってそういうときはあるわ。・・・それで、幸せそうだった先生に何があったのか、私でよければ聞くけれど・・・話せる?」
「はい。・・・今朝のことなんです・・・」
は昨夜の出来事をスメラギに話した。それ以前からほったらかしにされて不満だったことも織り交ぜながら語る。
スメラギはうんうん、と言葉を拾いながら聞いていき、次第に合点がいったようではっと眼を丸くした。
「それって・・・そっか、そういうこと・・・へぇ」
「なんです、その顔。あたしは怒ってるんです。あの子たち、勝手すぎるわ」
くすくすと笑声さえ漏らすスメラギに、の頬はむくむくと膨れ上がる。
自分はこんなに怒っているのに、どうしてこの人は笑っているのだろう。
笑い過ぎに浮かぶ涙を抑えて、スメラギは言った。
「パーティーが6時半からだから、私それまでここにいるわ。先生は6時に帰ったらどう?それまでに二人で大掃除終わらせちゃいましょ。ランチ奢るわ。出前何とる?」
抽斗から弁当屋のメニューを取り出したスメラギは、それをに差し出した。
受け取ったはスメラギとメニューを交互に見つめる。
「ごはんなんて・・・」
「いいの、奢るの。元気だして!あたしの予想ではそんなに悪いクリスマスにはならないと思うわよ。そのために美味しいもの食べて元気にならなきゃ。食べたら大掃除!今日で終わらせるわよ!」
「もう十分悪いクリスマスよ」
「一日終ってみなきゃいいか悪いか分からないじゃない。ほらほら、とっとと決めて!私、日替わり幕の内」
「え、あ、あたしチキン竜田」
「・・・私のより高いじゃない」
スメラギの気遣いに少しだけ気を取り直し、は午後を準備室の大掃除に充てて6時の帰宅まで本棚を整理して過ごした。
時間をかけて綺麗に整頓された本棚を見て清々しい気分になる。
あんなに散らかっていた部屋が見違えるほどの美しくなった。
安堵の息を吐いて椅子に腰を下ろしかけたに、スメラギが荷物を突き付けて帰るように促す。
もう6時だから。ちょうどいい時間だから帰りなさい。
そう言って準備室を笑顔で追い出された。
最後まであの笑顔の真意が掴めなかった、とは気がかりに思いながら準備室を後にした。
背中にスメラギの声。
「メリークリスマス、先生。きっと素敵なクリスマスになるわ」
やっぱり分からなかった。
帰る足取りは重いが、嫌でも動かせばそれなりの時間で自宅に着いてしまった。
ドアの前に立つが部屋は静まり返っている。かなり怪しいが、冷たいドアに耳を押しあてて聞き耳をたてたが何も聞こえない。
鍵がかかっていたので鍵を鞄から鍵を取り出して開ける。
「ただいま・・・」
恐る恐る声を出すが、反応はない。いつもならアレルヤとハレルヤがお帰り、と迎え入れてくれるのに。
なんだか泣きたい気分になりながら中に入る。
リビングに続く廊下は暗い。灯りのない部屋がこんなにも寒々しいものだとは思いもしなかった。
そろそろと歩き、リビングと廊下を仕切る扉に手をかける。
ガラス越しに光。
温かく揺らめくオレンジの光が見える。
何の光だろう。
はドアノブを捻って、そっと扉を開けた。
「わ・・・」
テーブルの上に高々と飾られた燭台の火がその正体だった。
その足元にはたくさんの料理。温かく香る美味しそうな料理が並べられている。焼いた七面鳥が燭台の灯りに照らされて艶々と光っている。
窓際には朝にはなかった120センチほどのクリスマスツリーが立っていた。
雪を模した綿や、おもちゃの汽車、プレゼントの箱等の飾りを纏い、静かに鎮座している。
リビングはクリスマス一色で、いかにも幸せそうな空気に満ちていた。
がその様子に釘づけになっていると、ふいに背後から抱き締められた。
予期せぬ出来事に驚いてもがいたが、耳に触れた声に暴れるのをやめる。
「」
「アレルヤ・・・ハレルヤ・・・」
力なく呟くと、アレルヤが一層強く抱きしめた。ハレルヤは姿が見えるようにの前に移動して、腰を屈めて彼女の顔を覗き込んだ。
「よう、びっくりしただろ?てめぇのために全部用意してやったんだぜ?」
「なんのこと・・・」
「ごめんね、。今日のことも今までのことも全部君に喜んでもらいたくてずっと秘密にしてたんだ・・・」
何度も謝りながら、アレルヤはを解放した。
ハレルヤは彼女の頭をぐしゃぐしゃと撫でながら、らしくもなく苦笑を浮かべた。
「今日の日のこと、全部お前のためだ。説明するからきいてくれ」
帰ったばかりで疲れただろうとを椅子に座らせて、ハレルヤは数日前から今日に至るまでを説明した。
毎日ほとんど断りもなく夜に出かけていたのはバイトに行っていたからで、お金を貯めてちゃんとクリスマスらしいことをにしてあげたかったためだと、最初に言った。
アレルヤが二の句を次ぐ。
早く帰ってきてほしくなかったのはその準備のためで、が思うような裏切りは決してないと告げた。
「言い方が悪かったね・・・。もう少し言葉を選べばよかったよ」
申し訳なさそうにアレルヤが言って、ハレルヤが頷く。
は呆気にとられた様子で話しを聞いていたが終わると、顔を真っ赤にして震える声で言った。
「あたし・・・知らなかったから・・・ひどいことたくさん言ったわ。知ってて無視もしたし、ハレルヤをぶった・・・」
「構わねぇよ。先にちゃんと話しゃ良かったが、当日のその時まで黙ってるって決めたのは俺らだ。がそれまでどんな風に思うかなんて考えてもみなかった。だからお前が気に病む必要なんかねぇんだよ」
「・・・昨夜、泣いてたね。今日も授業のとき泣きそうだった・・・。ごめんね、寂しい思いさせたね」
馬鹿だ、あたしは。
は悪くないと繰り返す二人に、ますます恥ずかしくなる。
二人はずっとあたしのことを喜ばせようとしてくれて、それでもあたしはそんな二人の気持ちに気付けなくて、自分のことばかり考えていた。
なんて情けないの。
アレルヤとハレルヤより幾つも年上なのに。
余裕がない。二人のことを想うと笑えるくらい余裕がなかった。
それは裏を返せば、二人を想う気持ちが深すぎるということに他ならないが、それでもは身の縮まる思いだった。
どんなに綺麗だ、明晰だ、ともてはやされようともこの年下の恋人の前ではいつもただの小娘だ。
その優しさの前にはいつも甘えるしかない。
いつの間にか涙が溢れていた。気づいたハレルヤが指先で涙を拭って笑う。
「たっく・・・本当に泣き虫だな、お前はよ。泣くなよ。泣かせたいわけじゃねぇんだ」
「そうだよ。笑って。僕、君の笑顔が大好きだよ」
二人に言われては泣いた顔のままおずおずと微笑んだ。
喉がつっかえて謝罪の言葉が出てこないから、そうして応えるしかなかった。
アレルヤが嬉しそうに笑う。人懐こい笑みだ。
「うん、可愛い。その顔が一番似合うよ」
言いながら濡れた瞼にキスを贈られる。
ハレルヤはまだ涙の伝う頬に舌を這わせた。
あまりの恥ずかしさに身を捩るが、逞しい腕に容赦なく捉えられる。
「馬鹿、逃げてどうすんだよ。これから飯食うんだろ」
「そうだよ。お腹空いたでしょ?逃げちゃダメだ」
「う・・・分かってるわよ・・・」
ようやくいつもの元気さが戻ったようなに、双子は顔を見合せると更に彼女との距離を詰めた。
にじり寄る二人には後ずさる。
「な、なに?」
おろおろと二人の顔を交互に見るに、意地悪く笑う。
肩を抱いてがっちりホールドすると、その柔らかく肌理の細かい頬に音をたててキスをした。
「メリークリスマス、」
の青い眼に、幸せな涙が浮かんだ。
25
出来はともかくとにかく書き続けました。
なんだか終わってないような終わりですが、まあいいのです。
なんとか25日に書き終わってよかったです。
なのでタイトルは安易に25で。
毎回タイトル決めるのが苦痛、もとい苦手です。
何かお題借りようかなぁ・・・。
(2008/12/25)